血統と馬場から競馬を読み解くブログ

各開催の傾向を血統と馬場から読みといていきます。

競馬における血統とは・・・

久しぶりの更新になりました。
本当は毎週ブログの予想を配信できればいいのですが、少しどたばたした日が続いており、時間ができたときに予想は載せていきたいと思います。

今回は予想ではなく、「血統予想とは」をテーマにコラム記事を書きたいと思います。

 

競馬はブラッドスポーツ(blood sport)という言葉を聞いたことがある人も少なくはないと思いますが、血統と競馬には非常に密接な関係があります。
実際にサラブレッドの成績に対する両親の遺伝の影響は約33%、残りは母体内や生後を取り巻く環境に左右されると言います。この33%を多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人によってそれぞれかと思いますが、3分の1以上の役割を果たしていることはまぎれもない事実であり、これを無視してサラブレッドを語ることは出来ないと言っても過言ではないでしょう。

そもそも、競馬の歴史を振り返ると、サラブレットはイギリス王族の道楽から始まり、いかに強いサラブレットを生産できるかに時間とお金を費やしてきた産物です。その結果、弱い馬は必然的に淘汰され、強い馬に強い馬を掛け合わせてきてより強い馬をつくることが繰り返されます。これは今も同じですが、強い種牡馬が多くの繁殖牝馬に種付をします。昔はより狭い範囲で繁殖が行われていたため、一部の馬に繁殖が偏り、その次の世代もより強い馬にまた繁殖が偏る・・・・この繰り返しで産駒の血統は過去の強い馬の血が濃く入り、似た血統構成になるというわけです。いわゆる、近親繁殖(インブリード)の始まりです。

ただ、近親繁殖を繰り返していけば血が濃くなりすぎ、それにつれて産駒は心身に弊害が出てくるため、一定のところまでいくと血液が飽和状態になり繁殖できなくなってしまいます。そのため、緩和を行うために全く異なる血脈の血を入れます。これが異系後輩(アウトブリード)です。

つまり、サラブレッドは近親の馬を配合させることで近親の特徴を強調し、異系の馬を配合させることでその特徴を引き継いでいくことで歴史は紡いでいきます。
この近親の馬を配合させ特徴を強調させることをクロスといいます。実際に血統表を見てご説明します。
これはスクリーンヒーローの血統表です。

 

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父グラスワンダーの4代目と母ランニングヒロインの4代目に"Nothern Dancer"の名前があります。これがクロス(≒インブリード)といわれるものです。
ちなみに血量は下記のように表記されます。

1世代前:50%
2世代前:25%
3世代前:12.5%
4世代前:6.25%
5世代前:3.125%

スクリーンヒーローの場合、父、母ともに4世代前にNothern Dancerがいるため、6.25 + 6.25 = 12.25%の血量になります。
"奇跡の血量"という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは18.75%(3世代前×4世代前)の血量のことを指し、好成績を一番残しやすいインブリードといわれています。

サラブレッドをつくることは今も昔も全く変わっておらず、歴史的に名を残してきた名馬の近親配合を繰り返すことで強い馬の特徴を紡いでいくことに尽きます。いかに強いサラブレッドをつくるために、どの馬の組み合わせが良いか、どのくらいの血量が良いか、を常に探し続け交配してきました。
だからこそ、競馬がブラッドスポーツと言われる所以であり、予想をする上で血統は切っても切れないものだと思います。

 

ちなみに血統表の見方ですが、基本的には4本(父父、父母、母父、母母)のラインで見ます。
特に父父をサイヤーライン、母父をブルードメアサイヤー(BMS)、母母をファミリーラインと呼び、重要視される配列になります。(このあたりはまた後日)

父父:SilverHawk(サイヤーライン)
父母:Amerifloa
母父:サンデーサイレンス(ブルードメアサイヤー/BMS)
母母:ダイナアクトレス(ファミリーライン)

 

つまり、血統を見るポイントとしてはこれまで述べてきましたが、下記の6つになります。

・インブリード(クロス)
・アウトブリード
・父父(サイヤーライン)
・父母
・母父(ブルードメアサイヤー)
・母母(ファミリーライン)
(父父と父母を合わせて、種牡馬として5つのポイントでも良いと思います)

血統で予想する場合、多くの方が種牡馬だけで判断されているように思えますが、実際のところ、サラブレッドの素質の60%は牝馬から遺伝されます。種牡馬からは40%程度。ただ、種牡馬は1年間に多いと何百頭にも種付をするためデータが取りやすい反面、牝馬は年に1頭しか産めず、生涯でも7,8頭産むことが出来れば十分に成功した繁殖牝馬になるためデータが取りづらく予想に使えないことも事実。


だからこそ、他の人と違う視点で予想することでオッズ妙味のある馬を見つけることができれば勝ちだと思います!
種牡馬だけでなくクロスやファミリーラインなど他のポイントも合わせて予想ファクターとして使うことが出来れば、もっと血統が楽しくなってくると思います。


私は血統は馬自身の未知なる力を紐解くファクターだと思っています。予想ファクターは指数、調教、馬体、近走成績、ラップなど多数ありますが、それらは過去のデータや今の状態を示すもの。そのため、同条件の場合は有効に使えますが、例えば芝→ダート替わりなどの初めての条件で出走する場合には使えないことも多いと思います。

血統であれば、過去の血の系譜を紐解くことでサラブレッド自身の秘めたるポテンシャルを導き出すこともできるはずです。

これから血統に関するコラムを書いていきますので、血統に興味を持っていただくと嬉しいです。